教育理念
「国際化」にも見られるように、世界は社会、経済、文化等あらゆる分野での地球規模的な流動性が高まっています。また、科学技術の爆発的な進歩と社会の高度化、複雑化や急速な変化に伴い、過去に蓄積された知識や技術のみでは対処できない新たな諸課題が生じており、これに対応していくため、新たな知識や専門的能力を持った人材が求められています。 平成十一年六月のケルン・サミットにおいては、「来るべき二十一世紀は柔軟性と変化の世紀であり、すべての人々にとって流動性に対応するためのパスポートは教育と生涯学習である」として、生涯にわたる学習機会の確保と、学生、教員等の国際交流の重要性、流動化する国際社会の情報共有の必要性が強調されました。この言葉にも象徴されるように、国際社会の情報共有ツールとしてインターネットは欠くことのできないものとなり、日々の生活のなかに確実に定着してきています。
インターネットが普及し始めた頃、その目的は「どこにいても、あたかも大きな図書館で調べものをしているかのように、欲しい情報が入手できること」にありました。やがてブロードバンドが普及するとともに、その内容は、文字や画像のみならず音声や動画で入手できるようになり、更に受け手だけではなく誰もがその発信者になり得るまさしく情報のコミュニケーション手段としてインターネットが活用される時代が到来しました。日本国内におけるインターネット利用者数は7,730万人で、その人口普及率は60.6%(平成十五年末)、ブロードバンド(光ケーブル、CATV、xDSLなどの高速通信回線)の普及率も 47.8%となり、13歳から39歳までの範囲で利用率が90%を超えています。また、パソコンからが利用される機器の79.7%を占め、自宅・その他からの利用が使用される場所の84.8%となっています(総務省「平成十五年通信利用動向調査」より)。また全世界に目を向けてみると言語別のインターネットへのアクセスについては英語35.2%、中国語13.7%、スペイン語9.0%、日本語8.4%、ドイツ語6.9%などとなっています「global reach」Sept.2004より)。
教育においても、このIT化は積極的に取り組まなければならない課題となっています。学校において教職員が作成する様々な文書、帳票などのデータは従来個々の教員の財産としてそれぞれが管理してきました。それらは、作成した個人にしか取り出すことが不可能な様式で机や棚に収納されていました。そのためにいくらすばらしい教案・教材を作成したとしても、また有益な教育のノウハウがあったにしても、他の教職員と共有することは稀であったのです。だからその教職員が去ってしまうと、組織の教育力は急速に低下してしまいますし、学校という教育の現場での情報の共有化はなかなか為されてきませんでした。
ところがそうした従来の学校としての組織教育に変化が見られるようになってきたのです。個々の教員が有している様々な財産を共有化し、データ・ベース化を早期に取り組んだ学校が教育の質的向上と合理化に役立て始めたのです。同じ分掌や教科を受け持つ教員が自ら「計画→実施→チェック・調整」した教育に関する様々なデータを一定のルールに基づいて記録することによって、他の教職員が利用可能にするとともに、自らも利用者になることができるようになりました。それを可能にしたのがインターネットなのです。私学は国・公立学校と比較すると規模も小さいだけに教育の質が全体に及ぼす影響は大きいといえます。またひとつの学校に留まって教育をおこなう期間は長いだけに、その間に蓄えられた教育財産は膨大なものとなります。本学園にとって、インターネットを活用した教職員のためのデータ・ベースの必要性は急を要するものです。
教育をする側からデータ・ベース化することによる財産の共有化の必要性について述べましたが、教育を受ける側の生徒にとってもITの活用は教育の補助として大変有効なものとなります。これまで授業は、生徒が一ヶ所に集合して同一の時間帯に受けることが基本でしたが、インターネットはその場所と時間を限定しなくなりました。つまりインターネットの接続環境さえあれば、世界中でいつでもどこでも授業を受けることができるようになったのです。しかもブロードバンドはリアルタイムで音声や動画による双方向のコミュニケーションを可能としました。この環境が用意されれば、欠席した授業の補充や理解不足の補習、あるいは海外での授業に活用できるようになりました。また教科教育に限らず生徒の指導のためのコミュニケーション手段としても利用できます。つまり学校におけるIT化は従来の学校におけるテキスト、問題集などの出版物や図書館、電話、ビデオ、あるいは、全体授業や個別指導などを統合したコミュニケーション・メディアと捉えることができます。
約20年前にパーソナルコンピュータが普及し始めた頃、CAI(コンピュータ支援教育)がブームとなった時期がありました。当時はまだインターネットは普及する前でパソコン単体に印刷物を入れるイメージで、パソコンによる教材学習の域を出ることができませんでした。その後、CD?ROMを使用した教材が提供されるようになり、教員が生徒の学習を点検できるようなシステムも現れましたが、やはり単体としての利用が中心でした。また教員が独自のテキストや問題集を入力しなければならず、コミュニケーション機能もなかったために一般的に普及することはありませんでした。しかし、ブロードバンドの普及は教育において最も必要とされていたコミュニケーションを図りながら指導を進めることを可能にしたのです。学校あるいは教員が蓄えた有効なデータ・ベースに生徒自身がアクセスし自ら学び解決することができるようになったのです。インターネットはコミュニケーション・ツールとしても有効で、学習指導要領が掲げている新しい学力観に基づく学力向上に非常に役立つツールだといえます。本学園においても、校内でそのための委員会をはじめとした組織作りが急務です。
